「会社のInstagramを毎週更新しているのに、問い合わせも応募も増えない」――そんな悩みを抱える企業は少なくありません。

結論から言うと、成果が出ない企業SNSアカウントには、次の3つの共通点があります。

  1. 1つのアカウントで「売上」と「採用」の両方を狙っている
  2. 「週1回投稿」など、投稿頻度だけがルール化されている
  3. 本社・支店・採用などアカウントが乱立し、管理ルールがない

 

成果が出ない企業SNSの3つの共通点(目的の混在・投稿頻度だけのルール・アカウント乱立)

いずれも「頑張って更新しているのに、かえって企業の印象を下げてしまう」状態を生みやすいのが厄介な点です。

本記事は、累計フォロワー71.9万人以上のSNS運用を支援してきた株式会社OTONAの代表・大平が、ポッドキャスト「地方から考察ラジオ」で話した内容をもとに再構成したものです。

数多くの企業アカウントの相談を受けてきた現場の視点から、失敗の原因と立て直し方を解説します。

目次

企業SNSの「失敗」とは?まず成功・失敗の定義をそろえよう

企業がSNSアカウントを運用する目的は、大きく分けて次の2つに集約されます。

  • 売上への貢献(集客・認知・問い合わせ・来店・購入)
  • 採用への貢献(認知・応募・内定承諾)

本記事では、このどちらの成果にもつながっていない状態を「失敗している」と定義します。

OTONAに寄せられる相談の実感値としては、企業が運用しているSNSアカウントの半数以上が、この「どちらの目的も達成できていない」状態にあると感じています(※当社の支援・相談実績にもとづく体感値です)。

 

なぜ今、企業SNSは成果が出にくくなっているのか

企業SNSが成果を出しにくい理由:発信者は増え続け、見る人の時間は増えず、コンテンツの質が上がり一瞬で離脱される

前提として押さえておきたいのが、SNS市場そのものの変化です。

  • 発信者の数は増え続けている一方で、見る側の可処分時間は増えていない
  • その結果、発信者同士の差別化が進み、SNS上のコンテンツの質は年々上がっている
  • 見る側の目は肥え、数年前なら見てもらえた投稿も、今は一瞬でスワイプされる

つまり、「少しでも見づらい・分かりにくい」と感じた時点でユーザーは離脱するのが当たり前の時代です。

この前提をふまえて、3つの共通点を見ていきましょう。

 

共通点①:1つのアカウントで「売上」も「採用」も狙っている

クライアントと求職者では知りたい情報が違うことを示した比較図

最も多いのが、「株式会社〇〇 公式(広報)アカウント」のように、1つのアカウントで全ての目的をかなえようとしているケースです。

なぜ失敗するのか

たとえばBtoB企業の場合、取引先(クライアント)が知りたい情報と、その会社で働きたい求職者が知りたい情報はまったく異なります。

見る人 知りたい情報の例
クライアント・顧客 サービス内容、導入事例、専門性、実績
求職者 仕事内容、働く人、職場の雰囲気、キャリア

この2種類の情報が混在したアカウントにたどり着くと、どちらの立場の人も「どれが自分に関係ある投稿なのか」が分からない状態になります。

結果として、どの投稿もしっかり見られることなく離脱されてしまいます。

さらに見落とされがちなのが、質の低いコンテンツは企業イメージそのものを下げるという点です。

せっかく時間をかけて更新しているのに、アカウントがマイナスのブランディングになっているケースは珍しくありません。

 

対策:アカウントごとに目的とターゲットを1つに絞る

  • 「売上目的」と「採用目的」はアカウントを分けて設計する
  • 1アカウントにつき「誰に・何を感じてもらい・どんな行動をしてほしいか」を明確にする
  • プロフィール文・ハイライト・投稿テーマを、その目的に沿って統一する

実際にOTONAの支援先でも、集客と採用で設計を分けたことで採用単価約15万円・5名採用につながった事例があります(後述の「OTONAの支援事例」で紹介)。

関連記事:中小企業のInstagram採用で2ヶ月52エントリー獲得した方法

 

共通点②:「週1回投稿」など投稿頻度だけがルール化されている

週1回投稿ルールがネタ切れ・穴埋め投稿を生み求職者に響かなくなる流れ

2つ目は、投稿頻度だけが社内ルールとして決まっているケースです。

「会社としてやるからにはきちんと続けよう」という姿勢自体は正しいのですが、ここに落とし穴があります。

ネタ切れが「誰も見たくない投稿」を生む

週1回投稿の場合、年間で約48〜52本のコンテンツが必要になります。

たとえば採用アカウントで、求職者が本当に知りたい情報を、同じ品質で約50本作り続けるのは非常に困難です。

多くの現場で起きているのは、次のような流れです。

  1. 最初の10本ほどで「伝えるべきネタ」が尽きる
  2. それでも「週1回は投稿すること」と言われている
  3. 「人事部でランチに行きました」「社内イベントがありました」など、直近の出来事を切り取った投稿で埋めるようになる

しかし、まだよく知らない会社のランチやイベントの様子を見たい求職者は、ほとんどいません。

興味を持ってもらうために始めた運用が、「よく分からない会社」という印象を与える逆効果になってしまうのです。

 

「量が正義」の時代は終わった

かつてはYouTubeでも「毎日投稿」「1日2本」など、投稿数で勝負できた時代がありました。

しかし現在はコンテンツ量があまりに増えたため、品質の高いものしか見られない環境になっています。

投稿頻度を優先するメリットは、以前よりも大きく薄れています。

 

対策:頻度は「目的」から逆算して決める

たとえば「自社をまだ知らない人に、SNSをきっかけに興味を持ってもらい、応募につなげる」ことが目的なら、ターゲットは自社をほぼ知らない人です。

その人にとって、社内表彰式や社内行事はまだ必要のない情報です。

  • ターゲットが最初に知りたい情報は何か?を起点にテーマを設計する
  • そのうえで、品質を保てる投稿数を決める(月2本でよい場合も、月4本必要な場合もある)
  • 一方、ショート動画でエンタメに振り切ってバズを狙う場合などは、週1回以上の頻度ルールが有効なこともある

大切なのは、「頻度を守ること」自体を目的にしないことです。

OTONAの支援先では、フィード12投稿のみで美容師6名の採用につながった例もあります。

 

共通点①×②の掛け算で起きる「負のスパイラル」

目的の混在と頻度優先の組み合わせで起きる企業SNSの負のスパイラル5段階

「全ての人に見せたい」×「週1回は必ず投稿」という2つが重なると、情報の種類は多いのに、1つ1つの質は高くないアカウントができあがります。

すると、次のような悪循環に陥りがちです。

  1. 狙ったターゲットに見てもらえない(フォロワーは同業他社や関係者ばかり)
  2. 数字が伸びず、売上や採用の成果にもつながらない
  3. 担当者のモチベーションが大きく下がる
  4. コンテンツの質がさらに落ちる
  5. いつの間にか更新が止まる

更新が途中で止まったままの企業アカウントを見かけたことがある方も多いはずです。

その多くは、この①と②の組み合わせが原因になっていると考えられます。

 

共通点③:アカウントが乱立し、全社の管理ルールがない

本社・採用・支店などアカウントが乱立し、ユーザーがどれを見ればよいか迷う状態の図解

3つ目は①とは真逆で、アカウントが増えすぎているケースです。

特に、店舗や支店などオフラインの事業を展開する企業で多く見られます。

  • 本社アカウント
  • 採用アカウント
  • サービス紹介アカウント
  • 〇〇支店アカウント
  • 〇〇支店 採用アカウント

全社としてのSNSアカウントの管理ルールがないと、このように部署や拠点ごとにアカウントがどんどん増えていきます。

 

なぜ失敗するのか:ユーザーが「どれを見ればいいか」迷う

近年は、Googleで社名を検索すると、公式ホームページのすぐ下にInstagramアカウントが表示されることも珍しくありません。

Instagram内での検索も増えています。

そこに社名のついたアカウントが5〜6個並んでいると、ユーザーは「どれを見ればいいの?」と迷い、目的の情報にたどり着くまでにストレスを感じます。

さらに、アカウントが乱立している企業には、

  • アカウントごとにコンテンツの品質やトンマナ(トーン&マナー)がバラバラ
  • 「こちらはきちんと更新されているのに、あちらは放置されている」

という共通点もあります。せっかくターゲットが訪れても、ブランドとしての一貫性がなく、十分に見てもらえません。

 

対策:全社でアカウント運用ルールを定める

  • アカウント開設の基準(誰が・どんな目的なら新設してよいか)を決める
  • 既存アカウントを棚卸しし、統合・休止・継続を判断する
  • トンマナ・投稿品質の基準と、更新体制(担当者・承認フロー)をそろえる

OTONAにも「社内でSNSの管理体制を整えたい」というご相談が増えています。

関連記事:Instagram運用の内製化は難しい?失敗しない「ハーフ内製」とは

2026年の企業SNSは「やらない」か「ちゃんとやる」かの二択

2026年の企業SNSは「とりあえず投稿」か「目的を決めてちゃんとやる」かの二択

SNSは「ホームページ並み」の重要インフラになった

Instagramは国内でも数千万人規模が利用する情報インフラです(Meta社は2023年に国内月間アクティブアカウント数が6,600万を超えたと発表)。

企業にとって「SNSをやらない」という選択肢は現実的ではありません。

一方で、SNSを始めた当初のように「更新するだけで伸びる」時代は完全に終わりました。

今や企業がSNSをやっているのは当たり前で、ただ投稿するだけでは見てもらえません。

特に注目したいのが検索行動の変化です。

たとえばBtoBの機械メーカーで、求職者がホームページを見ても仕事内容がよく分からなかったとします。

その人は検索結果に戻り、2番目に表示されたInstagramアカウントを見に行くでしょう。

そこで質の低い投稿しかなければ、「結局よく分からない会社だった」と離脱されてしまいます。

SNSアカウントは、もはやホームページと同じくらい企業の「顔」として見られているのです。

 

AI時代の情報収集でも、発信の「質」が問われる

今後はAIの登場によって、人々の情報収集の行動はさらに変化していくと考えられます。どのような形になるにせよ、中身のない発信は選ばれないという流れは変わらないはずです。

無料で始められるからと、とりあえず週1回投稿を始める――この進め方こそが、マイナスブランディングを招きやすい典型パターンです。やるなら、目的を定めて「ちゃんとやる」。それが今の企業SNSに求められている姿勢です。

 

OTONAの支援事例:目的を絞った運用で成果が出た企業

OTONAの支援事例:シーガル様 採用単価約15万円・5名採用、Mintleaf様 フィード12投稿で6名採用、ヤシマ食品様とCDエナジーダイレクト様 6ヶ月で1万フォロワー

ここからは、株式会社OTONAが支援した企業の中から、本記事の3つの共通点と反対の「目的を絞った運用」で成果につながった事例を紹介します。

事例1:シーガル様(岡山・スマホケースメーカー)|集客と採用で設計を分け、5名採用

Instagram運用で0から月商646万円の集客チャネルを築いたシーガル様。採用でも、集客で培った知見を活かしつつ、採用目的に特化した「LP型採用アカウント」として設計しました。CSスタッフ・製造スタッフそれぞれに向けた職種別コンテンツで応募前の理解度を高めた結果、CSスタッフ4名・製造スタッフ1名の計5名を採用、採用単価は約15万円を実現しています。

→ 共通点①(1つのアカウントで全ての目的を狙う)の逆を行き、目的ごとに設計を分けたことが成果につながった事例です。

関連記事:【シーガル様】Instagramで採用単価約15万円・5名採用を実現した事例

事例2:Mintleaf様(岡山・美容室)|フィード12投稿のみで美容師6名を採用

1人採用するたびに30〜40万円のコストがかかっていたMintleaf様。予算100万円・フィード12投稿のみで美容師6名を採用し、採用単価は約15万円になりました。

→ 共通点②(投稿頻度だけのルール化)とは対照的に、投稿数より「求職者に響く中身」を優先した事例です。

関連記事:【Mintleaf様】Instagramで採用単価15万円・6名採用を実現した事例

事例3:ヤシマ食品様・CDエナジーダイレクト様|6ヶ月で1万フォロワー

新ブランドの立ち上げに取り組んだヤシマ食品様、「エネルギー事業×SNS」に挑戦したCDエナジーダイレクト様は、いずれも6ヶ月で1万フォロワーを達成。CDエナジーダイレクト様では、当初の目標より約3ヶ月早く達成しました。BtoC・インフラ系など業種を問わず、目的とターゲットを定めて運用すれば成果は積み上げられます。

関連記事:
– 【ヤシマ食品様】6ヶ月で1万フォロワーを達成した事例
– 【CDエナジーダイレクト様】6ヶ月で1万フォロワーを達成した事例

よくある質問(FAQ)

Q. 企業SNSで成果が出ない一番の原因は何ですか?

アカウントの目的とターゲットが定まっていないことです。売上と採用の両方を1つのアカウントで狙うと、どの読者にとっても「自分向けではない」アカウントになり、成果につながりにくくなります。

Q. 企業のInstagramは週に何回投稿すべきですか?

決まった正解はなく、目的とターゲットから逆算して決めるべきです。採用目的で認知の浅い層を狙う場合は月2〜4本でも十分なことがあり、エンタメ系ショート動画でバズを狙う場合は週1回以上が有効なこともあります。品質を保てない頻度設定は、かえって逆効果です。

Q. 採用用と集客用のアカウントは分けるべきですか?

基本的には分けることをおすすめします。クライアントと求職者では知りたい情報がまったく異なるためです。ただし、むやみに増やすと共通点③の「アカウント乱立」に陥るため、全社の運用ルールとセットで設計しましょう。

Q. 支店ごとにSNSアカウントを作ってもよいですか?

作ること自体は問題ありませんが、開設基準・トンマナ・更新体制を全社で統一するルールが必要です。ルールがないまま増やすと、ユーザーがどれを見ればよいか分からなくなり、放置アカウントが企業イメージを下げる原因になります。

Q. 成果が出ないなら、SNS運用はやめたほうがいいですか?

SNSは今やホームページ並みの情報インフラのため、完全にやめるよりも、目的を絞って質を高める方向で立て直すのがおすすめです。ただし、品質を担保できない状態で更新を続けるくらいなら、体制が整うまで無理に投稿しないという判断も一つの選択肢です。

まとめ:企業SNSは「目的設計」から見直そう

企業SNSが失敗する3つの共通点と対策のまとめ表

成果が出ない企業SNSアカウントの3つの共通点を振り返ります。

共通点 起きること 対策
① 1アカウントで売上も採用も狙う 誰にとっても見づらく、離脱される アカウントごとに目的・ターゲットを1つに絞る
② 投稿頻度だけがルール化 ネタ切れで低品質な投稿が増える 頻度は目的から逆算し、品質を優先する
③ アカウントが乱立 どれを見ればよいか分からず、品質もバラバラ 全社のアカウント運用ルールを整備する

SNSは「やるか・やらないか」ではなく、「やらないか・ちゃんとやるか」の時代です。今の運用に心当たりがある方は、まずアカウントの目的とターゲットを見直すところから始めてみてください。

 

SNS運用のお悩みはOTONAにご相談ください

株式会社OTONAでは、合計71.9万人のフォロワーを持つ自社メディア運営で得たノウハウをもとに、Instagramを中心とした企業SNSの戦略設計・運用代行・社内管理体制づくりをご支援しています。「今のアカウントで成果が出ていない」「アカウントが増えすぎて管理できていない」といったお悩みがあれば、お問い合わせよりお気軽にご相談ください。

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著者情報

大平 友明
TOMOAKI OHIRA 大平 友明 代表取締役

株式会社OTONA代表。2016年にFringe81株式会社(現Unipos株式会社)入社後、西日本支社の立ち上げや子会社FringeWestの取締役、代表取締役を歴任。2020年退社後、2021年に株式会社OTONAを創業。旅行Instagramメディア「オトナ旅」を26万フォロワー規模に成長させ、多数の企業や自治体へのSNSマーケティング支援・講演実績を持つ。関与したInstagramアカウントの合計フォロワーは47万人を超える。