写真や動画を使った視覚的なコミュニケーションを可能にするSNS。

中でも「Instagram」は、2024年度の新入社員を対象にした就職活動に関するアンケート調査で、情報収集のために利用したSNSの首位を獲得しています。(マーキュリー調べ:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000120.000098241.html

そして株式会社No Companyの調べによると25卒の新卒就活生の約6割が企業の情報をSNSで検索しているそうです。

株式会社No Company調べ https://www.no-company.co.jp/news/240723-release-research

単なる求人広告を超え、新たな常識となっているInstagram採用について紹介します。

私たちもこのようなデータを見つけ、Instagramを活用した採用に取り組みました。

弊社も結果的に2ヶ月間で52件の面接希望を頂き、実際に3名の採用に成功しました。

弊社のInstagram採用事例はこちらの記事で紹介しています。

単にInstagramを開設して、情報発信をするだけで成功するかと言われるとそういう訳ではありません。

 

本記事では弊社が意識したポイントについて分かりやすく解説します。

【自社事例有り】地方の中小企業がInstagramを活用して2ヶ月で40エントリーを実現した採用戦略を公開

そもそもInstagram採用とは?

Instagram採用とは、Instagramで視覚的なコンテンツを通じて、企業が潜在的な求職者に自社の文化や働き方を発信する方法です。

10代〜30代がメインユーザーであるInstagramは、企業の採用活動において、若年層にブランドイメージや職場環境を伝え、採用活動に結びつける理想的なSNSなのです。

そのため年々多くの企業がInstagram採用を導入し始めています。

Instagram採用のメリット5つ

Instagramを活用した採用活動のメリットとして以下の5つを紹介します。

1.若年層や転職潜在層へのリーチが可能

先述の通り、Instagramは若年層の利用率が高く、最も利用者の多い20代では利用率は8割ともいわれています。

またInstagramの広告機能を利用すれば、興味・関心、年齢、居住地など、より細かいターゲットへのアプローチが可能です。

2.企業の魅力を視覚的に発信

人間は約90%の情報を視覚を通じて受け取るといわれています。

写真や動画で職場の雰囲気を直感的に訴えることで、文字だけの情報以上に短時間で理解を促すことができます。

3.リアルタイムなやり取りによるエンゲージメントの向上

投稿を通じて直接コミュニケーションが取れるため、求職者が企業に親近感を抱きやすいというメリットがあります。

また企業側も求職者の反応をリアルタイムで確認でき、投稿の効果を即座に把握して次のアクションに活かすことが可能です。

こちらに関しては会社によってそれぞれ対応のルールを決めることをおすすめしています。

4.ブランド認知の強化とミスマッチの防止

分かりやすい魅力的な投稿により企業の概要、働く様子、メンバー紹介、価値観やミッションを発信することで、ブランドの認知度を自然に高めることができます。

また同時に企業のリアルを伝えることで求職者の企業理解を深め、ミスマッチの防止にもつながります。

5.採用コストの削減

媒体やプランにもよりますが、求人サイトや求人広告へ出稿する場合には数十万円から数百万円の費用がかかります。

一方Instagram採用であれば、コストを抑えつつ多くのリーチを獲得することが可能です。

弊社の場合、面接希望者1人あたりの目標単価の1/3の費用になりました。Instagram採用のポテンシャルを感じた瞬間です。

Instagram採用のデメリットは?

一方でInstagram採用にはいくつかのデメリットもあります。

1.継続的かつリアルタイムでの運用が必要

効果的なビジュアルコンテンツの作成と投稿には、時間とリソースを要します。またリアルタイムでの投稿、コメントや質問などへの反応が遅れると効果が減少する場合もあります。

とはいえ弊社もリソースをかけ続けるのは難易度が高かったので、週2回投稿し続けるといったような従来の方法と異なったやり方で実行しました。

2.アルゴリズムの影響を受ける

Instagramのアルゴリズムはエンゲージメント(いいね、コメント、シェア)や投稿内容の関連性などに基づき、投稿の表示順を決定します。

投稿のエンゲージメントが低いとフォロワーに表示される頻度が下がり、結果として採用情報がターゲット層に届きにくくなります。そのためコンテンツの質やタイミング、投稿頻度を調整する必要があります。

3.視覚依存の弊害

視覚情報が大事だと伝えましたが、視覚的要素に頼りすぎると給与や職務内容、スキル要件などの具体的な内容が伝わりにくく、求職者に必要な情報が不十分になり、採用ミスマッチのリスクが高まることがあります。

また視覚的表現は解釈に幅が生じやすく、企業の意図が正確に伝わらないことも考えられます。

特にZ世代の求職者はYoutube、Instagram、Tiktokなどを通して常に高品質なクリエイティブを見ているので、デザインにはこだわる必要があります。

Instagramの投稿は見やすくて当たり前という価値観であることをまずは認識することが重要です。

失敗するInstagram採用…成功しない6つの理由

以上のメリット、デメリットを踏まえて運用を行っても、なぜかInstagramでの採用がうまくいかない…。そんな時は以下のポイントを見直しましょう。

1.採用専用のアカウントを作っていない

企業の一般アカウント、広報用アカウントで採用活動を行うと、求職者にとって欲しい情報と求職者にとって興味のない投稿が混ざってしまい結局何も伝わらなくなってしまいます。

多くの企業がこのパターンで失敗しています。

2. ターゲットが定まっていない

どんな人に見て欲しいのか。どんな人にエントリーして欲しいのか。

その対象となる求職者層に合わせたコンテンツを作らなければ、関心の薄いユーザーに向けた投稿ばかりになり、採用効果が低下します。

3.デザインや文章、情報のクオリティが低い

Instagram上での情報量はどんどん増えており、もはや投稿を見る側の時間が足りない状況です。

その結果何が起きているかご存知でしょうか。

それはコンテンツの高品質化です。そのためクリエイターは競うように高い品質のコンテンツを作るようになっています。

消費者の目もどんどん肥えているので、企業側もその基準に合わせた投稿をする必要があるのです。

4.伝えたいことだけ発信してしまう

一方的な発信は興味を引きにくく、エンゲージメントの低下につながります。

まずは企業として発信したい情報と求職者が欲しい情報は異なる、という前提に立つことが重要です。

もう少し細かく説明すると、以下のように求職者の状況によって欲しい情報は異なる、ということです。

①まだエントリーしておらず会社名は聞いたことがある。エントリーするか迷う…

②次が最終面接!内定が欲しい!

ターゲットの話と紐付きますが、①と②のどちらの人に見てほしいかで発信すべき情報は大きく異なります。

ターゲットの状況を想像、リサーチして投稿コンテンツを作成するのが重要です。

5.自社の魅力を上手く言語化できていない

魅力が具体的に伝わらないと、求職者は自社で働くイメージを持ちにくく、他企業と比較して選ばれにくくなります。

よく見るのが「業界トップシェア」「売上〜〜億円」「業界のトップランナー」など抽象度の高い表現を多用しているケース。

こういった情報は業界に詳しい人が見ると理解できますが、業界未経験、ましてや新卒採用の場合は理解できません。

もっと分かりやすく、例え話は相対的な表現を用いることで伝わるコンテンツになります。

6.プロフィール文章が分かりづらい

企業概要や求職者が期待できることをプロフィールに明確に記載しないと、求職者はページに興味を持たず離脱しやすくなります。

Instagram採用の成功事例5つ

では実際に、どんな投稿をすればいいのでしょうか?

参考にInstagram採用に成功している企業を5つ紹介します。

1.三井住友カード株式会社

https://www.instagram.com/smcc_recruit

内定者や社員の紹介を通じて、職場で働く人々の様子や企業文化を具体的に伝えています。

求職者にとって「一緒に働く先輩」を想像しやすくなっているのが特徴です。

2.あいホーム

https://www.instagram.com/aihome_youkoso

宮城県の工務店あいホームでは、コロナ禍にInstagramでオンライン説明会を開催した実績があります。

企業の魅力を写真やライブ形式で効果的に伝えているようです。

3.Zenken株式会社

https://www.instagram.com/zenken.saiyou

メンバーインタビューを中心とした中の人が分かりやすいコンテンツ設計になっています。

特に入社するか迷っている求職者にとっては背中を押してくれる内容になっているようです。

4.三菱商事株式会社

https://www.instagram.com/mitsubishicorp_recruit

定期的な社員のインタビューやプロジェクト紹介を通じて、求職者が具体的な業務内容をイメージできる内容が発信されています。

選考スケジュールについても詳しく紹介されており、意向度が高い求職者にとって参考になるアカウントなのではないでしょうか。

5.デロイト トーマツ コンサルティング

https://www.instagram.com/deloittejp_consulting_career

働くメンバー紹介、インタビューを中心として就活で使えるノウハウの発信等を行っているようです。

コンサルティングという中々理解が難しい業界だからこそ働く人の声、雰囲気を理解しやすく、業務内容に魅力を感じやすい内容にしていると思われます。

Instagram採用の投稿方法と活用方法

Instagramで採用を行う際の投稿方法は主に3つあります。

1.フィード

ホーム画面に残るため、長期間にわたってアカウントに訪れるユーザーに閲覧される可能性が高まります。

またキャプションを使ってより多くの情報を伝えることができ、ユーザーにしっかりと内容を伝えることができます。

2.リール

動きや音楽を活用し、職場の雰囲気や仕事の内容をわかりやすく伝えることが可能です。

またエンターテイメント性を重視するため拡散されやすく、多くの潜在的な応募者にリーチできます。

フィードや発見タブにも表示されやすいため、長期的に新たなユーザーの目に留まる可能性を高めることができます。

3.ストーリー

24時間で消えるため、最新情報や緊急性の高い内容を迅速に伝えるとともに、ユーザーに親しみやすさをアピールできます。

またアンケートや質問スタンプなどの機能を使えば、双方向コミュニケーションが可能になり、関心やフィードバックを把握しやすくなります。

<その他、DMの活用も!>

求職者との直接的なコミュニケーション手段として、DM(ダイレクトメッセージ)を活用するのもおすすめです。

興味を持った求職者の疑問や関心に対してすぐに応答し、より親しみやすいブランドイメージを伝えることで応募率の向上が期待できるでしょう。

Instagram採用のまとめ

Instagram採用は、今や採用活動の常識となっており、今後もさらにその需要は高まっていくでしょう。

採用成功には、ターゲットの明確化や継続的な運用、フォロワーとの密なコミュニケーションが重要です。

弊社は2024年6月からInstagram採用の取り組みを始めましたが、2ヶ月間で合計52件の面接希望を頂き、国公立大生3名の採用に至りました。

「どうやってやったの?」「うちの会社でもできるの?」事例等詳細を知りたい方はぜひお問い合わせください。

 

著者情報

大平 友明
TOMOAKI OHIRA 大平 友明 代表取締役

株式会社OTONA代表。2016年にFringe81株式会社(現Unipos株式会社)入社後、西日本支社の立ち上げや子会社FringeWestの取締役、代表取締役を歴任。2020年退社後、2021年に株式会社OTONAを創業。旅行Instagramメディア「オトナ旅」を26万フォロワー規模に成長させ、多数の企業や自治体へのSNSマーケティング支援・講演実績を持つ。関与したInstagramアカウントの合計フォロワーは47万人を超える。