ウェブサイトへの流入はあるのに、問い合わせに繋がりきらない——。

このBtoB特有の「あと一歩」を埋める手段として、私たち株式会社OTONA(岡山・SNSマーケティング支援)が選んだのが、自社ポッドキャスト「OTONAの地方から考察ラジオ」でした。

我々は現在Instagramを中心に集客、採用の2軸で企業や自治体のマーケティング支援を行っています。

現在総獲得フォロワー数は70万人を超えており、全国様々な企業様とお取引がありました。

そんな中でどういう役割を期待してpodcastを始めたのか?

結論から言えば、ポッドキャストは「ウェブ来訪」と「問い合わせ」の間にある溝を埋める“信頼構築チャンネル”として機能させることでした。

名前だけは知っている相手に、「この会社・この経営者は信用できそうだ」と感じてもらう。その役割を、文字情報だけのコーポレートサイトは担いきれていないのでは?と感じていました。

この記事では、OTONAが実際にどう設計し、どんな手応えを得ているのかを、自社で再現できるノウハウとして開示します。

これからBtoBで企業ポッドキャストを始めたい方の、具体的な設計図として読んでください。

そもそもポッドキャストとは何か?

ポッドキャストとは、インターネットを通じて音声コンテンツをオンデマンドで配信・視聴できるメディアです。

ラジオと違い、放送局や放送時間の制約がありません。配信したエピソードはインターネット上に蓄積され、過去回もいつでも聴けるストック型メディアである点が特徴です。

SNSのショート動画やYouTubeとの大きな違いは、「画面を専有しない」ことです。

動画は視聴者の目と手を必要としますが、音声は通勤・家事・作業をしながらの「ながら聴き」で消費されます。

そのため、短く刺激的な情報よりも、長く・深い話をじっくり届けるのに向いた媒体だと言えます。

実際に弊社のポッドキャストのとある回では視聴完了率40%以上など、現在の他SNSプラットフォームでは考えれらないエンゲージメントを記録しています。

観点 ポッドキャスト(音声) YouTube・ショート動画
消費スタイル ながら聴き(耳だけ) 画面注視(目と手)
向くコンテンツ 長尺・深掘り・対話 短尺・ビジュアル訴求
制作工数 収録中心で比較的軽い 撮影・編集で重くなりやすい
資産性 ストック型で積み上がる ストック型だが更新負荷が大きい

なぜ私たちはポッドキャストを始めたのか(背景)

きっかけは、「ウェブサイトへの流入は十分にあるのに、問い合わせ率にはまだ改善の余白がある」という実感でした。

サイトに来てくれた人が、問い合わせを判断するときに参考にできる情報は、ブログ・実績・会社概要くらいしかありません。

情報が溢れるいま、それだけでは意思決定の判断材料として薄いと感じたのです。

そこで、「ウェブ来訪 → 問い合わせ」の間をつなぐ存在として、まずポッドキャストを始めてみよう、と考えました。

サイトの“その先”にある、温度感のある接点をつくる——これが出発点です。

目的は「バズ」ではなく「信頼の獲得」だった

私たちがポッドキャストに設定した目的は、再生数やバズの最大化ではありません。「信頼の獲得」です。

狙ったのは、「名前だけは知っている」程度の相手に、「より信用に値する会社だ」「この経営者は信用できそうだ」と感じてもらうこと

リーチを稼ぐことよりも、届くべき相手の納得度を上げることを優先しました。

この目的設定が、このあと紹介するコンセプト設計やコンテンツ設計のすべての判断基準になっています。

「何のためにやるのか」を先に決めることが、企業ポッドキャストを設計するうえでの前提です。

進め方①:コンセプト設計 ―「誰に聞かれたいか」を絞り込む

最初にやるべきは、「誰に聞かれたいか」をかなり細かく詰めることです。 ここがブレると、あとのすべてがブレます。

プラットフォーム上で跳ねさせる・バズらせてリーチを取りにいくなら、もっとカジュアルなタイトルや、万人向けのコンセプトになります。

それも一つの戦略です。

しかし私たちは、「マーケティングに興味のある経営者・担当者」に聞いてほしかったので、最初からコンセプトをはっきり絞って番組を設計しました。ターゲットを広げず、むしろ狭めたのです。

ターゲットを絞ると聴かれないのでは、と不安になります。しかしBtoBの信頼構築が目的なら、「100万人に薄く知られる」より「狙った相手に深く信頼される」ほうが、目的に適っています。

進め方②:コンテンツ設計 ―「役立つ」を軸にする

コンテンツ設計の軸は、徹底して「役立つこと」に置きました。

自社の強み話や会社紹介だけをしていたら、ポッドキャストをやる意味がないからです。

そして聞き手からしてもアピールだけを繰り返すポッドキャストは聞いてられないはずです。

具体的には、マーケティングのノウハウはもちろん、「最近世の中で注目されている事象を、マーケティング目線で見るとどう読めるか」という切り口を強く意識しています。

聞き手にとって「聞くだけでも面白く、マーケの参考にもなる」状態を狙えたことが、うまくいったポイントでした。

役立つ情報の合間に会社の思想や人柄がにじむからこそ、売り込みではなく信頼として伝わります。

進め方③:更新頻度と配信フォーマット

更新頻度の目標は「週1回・月4本」。続けられるペースに設定することが何より重要です。

フォーマットは、代表自身が出演し、会話相手を立てて対話形式で進めるやり方を採っています。

一人で淀みなく話すのが得意な人もいれば、相手がいたほうが言葉が出る人もいます。自分と相性の良い形式を選ぶことが、継続のコツです。

現在弊社でプロデュースしているPodcastについては弊社が聞き手となり、クライアントの良さを客観的に引き出す設計を選んでいます。

  • 一人語りが得意 → ソロ配信で密度を出す
  • 対話のほうが乗る → ホスト+ゲスト/聞き手の対談形式
  • ネタが豊富 → テーマ特化の連載シリーズ

「立派な形式」より「自分が続けられる形式」を優先することをお勧めします。

数字で見る手応え:高い視聴完了率と伸びる市場

市場の追い風と、自社番組の手応え。その両方が、ポッドキャストへの取り組みを後押ししています。

まず市場です。デジタルインファクトの調査によると、国内のデジタル音声広告市場は2020年の16億円から、2025年には420億円規模へと拡大が見込まれています(約26倍)。

世界に目を向けても、Fortune Business Insightsなどの海外調査では、ポッドキャスト市場は今後年率約30%(CAGR)での成長が予測されています。

お金が集まる市場は、それだけ聴く人と投資する企業が増えているということです。

次に自社の手応えです。SNSのショート動画は最後まで見てもらうのが難しいのに対し、ポッドキャストは最後まで聴かれやすいのが実感です。

凝った編集をしなくても、数十再生は出ています。流入もホームページ経由だけでなく、検索やプラットフォーム内のホーム面からも一定数あります。

伸びているエピソードの例として、尺20〜30分に対して平均視聴時間が約15分、完全再生率は約40%という数字が出ています(※自社実績)。

「半分しか聞かれていない」と見ることもできます。しかし、まだ“何者かよく分からない”状態の番組がここまで聴かれるのは、SNSマーケをやってきた私たちの体感としては異例で、ここに大きなポテンシャルを感じています。

SNSに挑戦したことのある人なら分かると思うのですが、ショート動画やYoutube動画の視聴完了率と比較するとこの完全視聴率40%という数値がいかに凄いか理解頂けるのではないでしょうか?

実際に出た成果:問い合わせ・採用前の「事前リファレンス」

最も手応えを感じているのは、問い合わせの前や採用面接の前に番組を聴いてくれている人がいる、という事実です。

「この企業をもう少し知りたい」と思ったときの事前リファレンス(下調べ)として、ポッドキャストが使われています。

商談や面接の場で「聞きましたよ」と言ってくれる企業・候補者が、実際にいます。

「これがあったから受注できた」という直接の計測はできません。

しかし、計測はできなくても、手応えは確かに感じています——これが正直なところです。

中長期では、自社ウェブ以外からの流入も増えていくと見込んでいます。

チャンネル登録 → 継続接触による信頼構築 → 問い合わせという動線が、これから効いてくると考えています。

なぜYouTubeではなくポッドキャストなのか(継続性・工数)

ウェブ来訪と問い合わせの溝を埋める手段はYouTubeも候補でした。そ

れでもポッドキャストを選んだ理由は、「継続性」です。

SNSマーケをやってきた私たちだからこそ継続という要素を最重要視しました。

最初はやる気でも続かない。この状況は何としても避ける必要がありました。

YouTubeは情報量も訴求力も高い一方、企画・撮影・編集の工数が重く、続けるのが現実的に難しい側面があります。

体感的に、YouTubeの制作コストはポッドキャストの10倍はかかるのではないでしょうか。

その点ポッドキャストは、音声収録を中心に運用でき、編集工数が比較的軽い。音声だけで回せるからこそ、「週1・月4本」を無理なく続けやすいのです。

温度感を“出し続ける”という目的に対して、最も両立しやすい手段だった——これが選んだリアルな理由です。

【考察】「ながら聞き」需要が、ポッドキャスト市場を押し広げる

私たちの読みはこうです。市場を本当に大きくするのは、発信する企業の増加だけではなく、消費者側の「ながら聞き」需要の拡大だと考えています。

SNSの短尺コンテンツに慣れた人が、いきなり長文・長尺に耐えられるわけではありません。

しかし、「作業中に何を流すか」という文脈になると話は別です。手を動かしながらだらだらと聴ける音声の需要は、これから上がっていくと見ています。

その兆しはすでにあります。好きなYouTuberの“長尺コンテンツ”を、画面を見ずに音だけ流す人が増えています。

ライブ配信を聞き流す文化も近い文脈です。つまり、お気に入りの配信者の「声だけ」を可処分時間に流す需要が高まっている、というのが私たちの見立てです。

ここがポイントです。市場は、①発信側(企業)が増えるだけでなく、②消費者側の可処分時間の使い方としても伸びる。この両面が重なるからこそ、ポッドキャストはこれから伸びる、と私たちは読んでいます。

まとめ

最後に、この事例の要点を整理します。

  • なぜ始めたか:BtoBのリード獲得・採用で、「ウェブ上の文字情報だけ」という現状と、問い合わせまでの溝を埋めるため。
  • 最大の気づきコンセプトはターゲットをかなり絞ること。バズより信頼を取りにいくなら、狭く・深くが効きやすい。
  • 手段の選択:温度感や会社のリアルを継続的に伝えたいとき、YouTubeは工数が重い。手軽に続けられるポッドキャストが現実解だった。
  • 市場の読み:挑戦する企業も発信者も増え、消費者の「ながら聞き」需要も高まる。だから市場は伸びると見ている。

企業ポッドキャストは、派手なバズの装置ではありません。ウェブと問い合わせの間に、信頼という橋を架けるための、地道で確かな一手です。

私たちOTONAの番組も、ぜひ実例として聴いてみてください。

OTONAの地方から考察ラジオ(Spotify)を聴く

よくある質問(FAQ)

Q. 企業がポッドキャストを始めるメリットは何ですか?

大きなメリットは「信頼構築」です。ウェブサイトの文字情報だけでは伝わりにくい会社の思想や人柄を、ながら聴きで継続的に届けられます。

問い合わせや採用面接の前の「事前リファレンス」として機能し、検討段階の不安を下げることが期待できます。

Q. BtoBでもポッドキャストは効果がありますか?

BtoBは検討期間が長く、最終的に「この会社は信用できるか」が問われます。

ポッドキャストはその信頼を継続接触で積み上げやすいため、ウェブ来訪と問い合わせの間の溝を埋める手段として相性が良いと考えています。

効果の兆しは出てきているが、今後もっと期待しているというのが実際のところです。

Q. 企業ポッドキャストの始め方は?まず何から決めればいいですか?

最初に「誰に聞かれたいか(ターゲット)」と「何のためにやるか(目的)」を絞り込みます。

OTONAの事例でも、コンセプトを広げず狭く設計したことが手応えにつながりました。機材選びより先に、コンセプト設計から始めるのが近道です。

Q. YouTubeとポッドキャスト、どちらがいいですか?

継続性を重視するならポッドキャストが向いています。YouTubeは撮影・編集の工数が重く、続けるハードルが高めです。音声収録を中心に運用できるポッドキャストは、週1更新などを無理なく維持しやすいのが利点です。

リソースも時間も予算もふんだんにある場合はYoutubeに取り組むのも全然良いと思います。

Q. 更新頻度はどのくらいが目安ですか?

OTONAでは「週1回・月4本」を目標にしています。重要なのは頻度の多さより、無理なく続けられるペースを守ることです。続けられる範囲で設計し、ストック資産として積み上げることを優先しましょう。

Q. 再生数が少なくても意味はありますか?

あります。BtoBの信頼構築では、再生数(リーチ)より「届くべき相手に届いているか」が重要です。少数でも、問い合わせ前や面接前に聴いてくれた相手の理解度が上がっていれば、それは意味のある成果です。

まずは番組を聴いて、設計から相談してください

ここまで読んで、「自社でもポッドキャストを始めてみたい」「でも設計や運用に自信がない」と感じた方へ。

株式会社OTONAは、番組のコンセプト設計から収録・運用、SNSでの展開まで、BtoB企業のポッドキャスト立ち上げを支援しています。「何を・誰に・どう届けるか」の設計だけでも、お気軽にご相談ください。まずは私たちの番組「OTONAの地方から考察ラジオ」を聴いていただくのが、いちばんの自己紹介です。


出典:株式会社一創「ポッドキャストとは」/デジタルインファクト「デジタル音声広告の市場規模調査(2020年16億円→2025年420億円見込み)」/Fortune Business Insights「Podcasting Market(世界市場成長率予測)」。国内デジタル音声広告の数値は2020年公表の予測(見込み)、世界市場のCAGRは海外調査会社の予測値です。

著者情報

大平 友明
TOMOAKI OHIRA 大平 友明 代表取締役

株式会社OTONA代表。2016年にFringe81株式会社(現Unipos株式会社)入社後、西日本支社の立ち上げや子会社FringeWestの取締役、代表取締役を歴任。2020年退社後、2021年に株式会社OTONAを創業。旅行Instagramメディア「オトナ旅」を26万フォロワー規模に成長させ、多数の企業や自治体へのSNSマーケティング支援・講演実績を持つ。関与したInstagramアカウントの合計フォロワーは47万人を超える。