株式会社OTONAがお送りする「地方から考察ラジオ」。今回はマーケティングの話というよりは雑談回。テーマは「沢木耕太郎の本を読むと旅に出たくなるのはなぜか」というお話です。
深夜特急との出会い
皆さんは沢木耕太郎さんの本を読んだことがありますか?一番有名な作品といえば「深夜特急」だと思います。
僕自身も18〜19歳くらいの頃に深夜特急を読みました。読んでみると「海外旅行に行くってめちゃくちゃかっこいい」と思ってしまったんです。
深夜特急を読むと、バックパッカーがかっこいいと感じてしまう。
それで大きなリュックを背負って、初めての海外一人旅でインドネシアのジャカルタとジョグジャカルタに行ったのが、深夜特急にまつわる僕の思い出です。
最近も「旅のつばくろう」を読んだりしていますが、どの本を読んでも沢木耕太郎さんの作品を読むと「旅行に行きたい」と思わされるんです。
40年前の本が今も読まれ続ける理由
深夜特急について少し説明すると、これは1985年に出版された作品で、今から約40年前の本です。にもかかわらず今でも売れ続けていて、累計600万部を突破しています。
2023年にはTBSラジオで朗読されるなど、40年前の本を今の若い方が手に取って、それで旅行に行きたくなるという、まさに伝説的な一冊です。
内容は、26歳の沢木耕太郎さんがある程度うまくいっていたルポの仕事を投げ出して旅に出るというもの。読むと自分が旅をしている感覚になり、最後まで読むと同じような体験をしたくなる――それがこの作品の大きな特徴です。
「追体験」させる文章力のすごさ
なぜ沢木耕太郎さんの本を読むと旅に出たくなるのか。それは、五感に訴える描写の解像度が圧倒的に高いからだと思います。
旅行で起きることを表面的に書くのではなく、何かを食べた時の味、その場で感じた風の感覚、肌に触れたものの表現が、すごく追体験しやすい文体になっています。文字を読むだけで、なんとなくその場面が想像できてしまうくらいの解像度です。
具体的には――
- 移動中の風景や、そこで出会った人の様子
- 電車で目の前に座っていた人の描写
- 降りた時の音、改札を抜けた時の景色
- タクシーに乗るか電車に乗るか迷う、その時々の心理描写
- お店を選ぶ時の「なんとなく流行ってる感のある店って旅行先でわざわざ行きたくない」という共感性の高い感覚
- 飲んだ日本酒の味わい
こうした描写があるからこそ、行ったことのない地域の旅行エッセイなのに、あたかも自分も行ったことがあるかのような感覚になる。そして、同じような体験をしてみたいと思わされるのです。
AI時代だからこそ「人間にしか書けない文章」の価値が上がる
最近、AIの普及によって世の中にきれいで整った100点満点の文章はかなり増えました。情報収集という目的では、そういった文章はとても便利です。
しかし、沢木さんのような文章――きれいというわけではないけれど、なぜか読み進めてしまう文章――の価値は、AI時代だからこそ改めて上がっていくと感じています。
例えば食品メーカーさんのコンテンツを作る時も、「やっぱり食べなきゃわからないよね」という部分がある。実際に肌に触れたり、食べたりした経験の言語化は、今のところ人間にしかできない領域ではないでしょうか。
SNSのキャプションを書く時にもAIは使えますが、日記のような文章、五感を通じた体験の表現は、まだまだ人間ならではの強みです。
Googleマップがない時代の旅の面白さ
深夜特急が書かれたのは約40年前。Googleマップもスマートフォンもない世界の旅行の話です。
今はどこに行っても「渋谷 カフェ」と検索すれば近くの良いカフェの情報がすぐに出てくる時代。40年前の旅の刺激量とは全然違います。危険は減ったけれど、当時の旅行がどういうスタイルだったのかを知るだけでも、小説として面白い。文章表現を学ぶという意味でも、暇つぶしとしても、おすすめの一冊です。
まとめ
- 沢木耕太郎「深夜特急」は1985年出版、累計600万部の伝説的な旅行記
- 五感に訴える高解像度の文章が、読者に旅の追体験をさせてくれる
- AI時代だからこそ、人間にしか書けない体験ベースの文章の価値が上がる
- SNSのコンテンツ制作においても、実体験に基づく表現は差別化のポイント
- 文章力を磨きたい方、人を動かす文章に興味がある方にもおすすめ
人を動かす文章に興味がある方、旅行が好きな方は、ぜひ「深夜特急」を手に取ってみてください。読んだら絶対に旅行に行きたくなります。
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