今回のテーマは「企業は採用・広報2つのSNSアカウントを明確に分けるべき」というお話です。

地方の企業さんを中心にインスタグラム運用の支援をしている中で、最近は採用に関するお問い合わせが増えています。「人が採れない」という企業が多い中、SNSをどう活用するかという議論が社内で起きるそうです。その際に「すでに広報用のアカウントがあるから、そこに採用情報も載せればいいのでは?」というご相談をよくいただきます。

今回は、なぜアカウントを分けるべきなのかを深掘りしていきます。

結論:採用と広報のアカウントは絶対に分けるべき

結論から言うと、採用と広報のアカウントは絶対に分けたほうがいいと考えています。

理由はシンプルです。今の時代、見づらいSNSアカウントを我慢して見てくれるほど、ユーザーは優しくないのです。見づらいと思った瞬間に離脱されてしまいます。

皆さんも普段の行動を思い返してみてください。YouTubeを開いたとき、おすすめに超トップクオリティのコンテンツが並んでいても、10個サムネイルを見て1つ見るかどうかではないでしょうか。それぐらい見る側の基準値は上がっているのが現状です。

1つのアカウントに情報を詰め込むデメリット

求職者としてその企業のアカウントを見に行ったとき、いろいろな情報がありすぎると「見づらい」と感じて一瞬で離脱されてしまいます。

さらに問題なのは、見づらいこと自体がネガティブな印象を与えてしまう可能性が高いこと。そして何より、伝えたいと思っていたことが伝わらないのが一番もったいないのです。

加えて、広報アカウントに採用情報を載せ始めると、もともとクライアント向けに見やすかったアカウントが、クライアント側から見ても見づらくなってしまいます。運用が楽という点以外にメリットが見つからないのが実情です。

前提条件が変わったことを理解する

以前は、企業でSNSアカウントを1つ持っていれば十分でした。企業がSNSをやっていること自体が珍しかった時代には、それでもフォロワーが増えて見られるケースがあったのは事実です。

しかし、発信者側が増え、AIアルゴリズムが進化した今、状況は大きく変わっています。ユーザーにとっては自分の好みのコンテンツが自動的にフィードに出てくるのが当たり前。わざわざ見づらいものを見る感覚は消費者側にはありません。

またインスタグラムのアカウントはホームページ的な役割としてもユーザー側が使い始めています。検索やイベント、ニュースをきっかけに企業アカウントを見に来るパターンも多いため、受け皿としての見やすさがより重要になっています。

同じ会社でも「見る人」によって欲しい情報は違う

1つの会社の情報といっても、どの視点から見るかで欲しい情報はまったく異なります

  • お客さん:商品やサービスの情報を検討時に知りたい
  • 求職者:どういう職種があるか、どんな会社かを知りたい

さらに求職者の中でも、段階によって求める情報は大きく変わります。

  • エントリー前の人:会社の概要、強み、わかりやすい実績など、受けるモチベーションを上げてくれる情報
  • 最終面接・内定承諾前の人:同じ境遇の社員インタビュー、細かい条件面の情報など、採用サイトには載っていないリアルな情報

このように分けて考えたほうが圧倒的に効率が良くなるというのが、2つのアカウントが必要になる本質的な理由です。

リソースが限られていても分けるべき理由

「分けて運用するほどのリソースがない」「予算が足りない」という議論が社内で起きることが多いようです。

しかし結論から言うと、10の運用リソースを1つのアカウントにかけるよりも、5ずつに分けて2つのアカウントで運用したほうが成果は出ます。投稿の頻度はそれほど高くなくても大丈夫です。大切なのは頻度よりも、ターゲットにとっての見やすさです。

実例:2ヶ月で40〜50名のエントリーを獲得

弊社でも「まずエントリー数を増やさなければ」という課題から、採用専用のインスタグラムアカウントを立ち上げました。その結果、2ヶ月で40〜50名の方にエントリーしていただけました

ポイントは、採用アカウントを立ち上げる際に「どの歩留まりを改善したいか」を明確にすること。エントリー数を増やしたいのか、選考途中の歩留まりを改善したいのかによって、重点的に発信すべき情報は異なります。

解像度を上げてSNS発信に取り組めば、かなりの成果が出るのがSNSの特徴です。

まとめ

企業のSNS運用において、採用と広報のアカウントを分けるべき理由を整理します。

  • ユーザーの目が肥えている時代に、見づらいアカウントは即離脱される
  • 1つのアカウントに情報を詰め込むと、どちらのターゲットにとっても見づらくなる
  • お客さんと求職者では求める情報がまったく違う
  • 求職者の中でも、選考段階によって欲しい情報は異なる
  • リソースが限られていても、分けたほうが成果は出る
  • まずは「どの歩留まりを改善したいか」を明確にしてから発信内容を設計する

すでに広報アカウントをお持ちの企業さんは、投稿頻度は高くなくても構いませんので、まずは採用専用アカウントを分けて立ち上げることをおすすめします。ちゃんと使えば確実に成果が出るのがSNSの強みです。


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著者情報

大平 友明
TOMOAKI OHIRA 大平 友明 代表取締役

株式会社OTONA代表。2016年にFringe81株式会社(現Unipos株式会社)入社後、西日本支社の立ち上げや子会社FringeWestの取締役、代表取締役を歴任。2020年退社後、2021年に株式会社OTONAを創業。旅行Instagramメディア「オトナ旅」を26万フォロワー規模に成長させ、多数の企業や自治体へのSNSマーケティング支援・講演実績を持つ。関与したInstagramアカウントの合計フォロワーは47万人を超える。